女性の筋トレは“歩ける寿命”を伸ばす:最新レビュー論文からわかったこと
こんにちは、Kurageの田代です。
Kurageには、「ダイエットしたい」というよりも、
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「このまま足腰が弱くなりそうで不安」
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「膝や腰が痛くて、この先ちゃんと歩けるか心配」
そんな相談で来られる40〜60代の女性がとても多いです。
最近、**女性のレジスタンストレーニング(筋トレ)**についての、かなり大きな総説論文(2025年発表)を読みました。
タイトルは、
Evolution of resistance training in women: History and mechanisms for health and performance
(女性における筋トレの歴史と、健康・パフォーマンスへのメカニズム)
というもの。
読んでみて、「これ、完全にKurageで伝えたい世界観じゃん…!」となったので、
今日はその内容をできるだけわかりやすく、40代以降の女性向けに噛み砕いてお話しします。
1. そもそも、なぜ女性は筋トレから遠ざけられてきたのか?
論文の前半は「歴史」の話です。
ざっくりまとめると、
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20世紀初頭:
女性に許された運動は
「優雅さ」「しなやかさ」を保つための 軽い体操 や ストレッチ 程度。
重いものを持ち上げる“筋トレ”は、完全に男性の世界でした。 -
1960〜80年代:
エアロビ・ジョギングブームで、女性の運動習慣は増えたものの、
それでも中心は有酸素運動。
「筋トレ=男」「女性は引き締めるくらいで」といったイメージが続きます。 -
1980〜90年代:
女性ボディビルダーや、パワーリフティング女子の登場、
アメリカのTitle IX(女子スポーツの権利拡大)などをきっかけに、
やっと女性も本格的な筋トレに参加し始めました。
つまり、女性が筋トレをしてこなかったのは「体の問題」ではなく、ほぼ“社会の思い込み”だったということです。
2. 男性と女性の「違い」はあるけど、トレーニングの原則はほぼ同じ
論文では、男女の違いもかなり詳しく解説されています。
🔹違いが出やすいポイント
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男性の方が
・筋肉量が多い
・テストステロン(筋肉がつきやすいホルモン)が20倍くらい多い -
その結果、絶対的な筋力・パワーでは男性が上回りやすい
でも、それはあくまで「絶対値」。
🔹女性ならではの特徴
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同じプログラムでも、筋力アップ率は男女でそこまで変わらない
(むしろ上半身は、女性の方が伸びしろが大きいことも) -
女性は
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脂肪をエネルギーに使うのが得意
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回復が速い傾向
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高重量じゃなくても健康メリットが出やすい
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論文の結論もシンプルで、
「基本的な筋トレの原則は、男女ほぼ同じ。
ただし、女性は上半身・骨盤底筋・膝まわりなど、意識したいポイントが少し違う」
というスタンスです。
Kurageでお伝えしていることとも、ほぼ一致します。
3. 女性が筋トレで得られる“健康面”のメリット
この論文、健康効果のデータがめちゃくちゃ豊富です。
特に女性に関係しそうなところを、Kurage目線でピックアップします。
① 死亡リスクが下がる(しかも有酸素とは“別枠”で)
世界中の大規模データをまとめた結果として、
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「週に1回でも筋トレをしている女性」は、何もしていない人に比べて
全死亡リスクが15〜46%低い
という報告がいくつも出ています。
しかもポイントはここ👇
有酸素運動(ウォーキングなど)とは独立して筋トレそのものが寿命を伸ばしている
「歩く+筋トレ」の組み合わせが、歩ける寿命を伸ばす黄金コンビだと言えます。
② 骨・関節を守る(特に閉経以降の女性)
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骨密度が1〜3%アップ(主に大腿骨頸部・腰椎)
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将来の骨粗鬆症・骨折リスクの低下
40〜50代からの**“守りの投資”としての筋トレ**は、
まさに「80歳でも歩ける足づくり」そのものです。
③ 代謝・内臓脂肪・糖尿病リスクの改善
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HbA1c(血糖の指標)が下がる
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内臓脂肪が減りやすくなる
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インスリン感受性が上がる
「同じ体重なのに、筋トレをしている人の方が健康」というのは、
こうした内側の変化が理由です。
④ 心血管・メンタルヘルスも良くなる
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血圧・悪玉コレステロール↓、善玉コレステロール↑
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不安・うつ症状が減る
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自尊心・自己効力感(“私にもできる”感)アップ
興味深いのは、
メンタルの改善効果は、男性より女性の方が大きい傾向がある
という点。
「筋トレ=心のリハビリ」という側面も、論文は示しています。
4. 40〜60代女性向け:Kurage的“守りの筋トレ”の考え方
論文ではアスリート向けの話も多いのですが、
ここからはKurageなりに**「一般の40〜60代女性」向けに翻訳**してみます。
🔹頻度
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目標:週2回
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まずは:週1回でもOK(論文的にも“ゼロより圧倒的に良い”)
🔹時間
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1回あたり 30〜40分程度
(全身をざっくり動かすイメージ)
🔹優先したいパーツ
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下半身(特に股関節まわり・もも裏・ふくらはぎ)
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体幹(お腹まわり・背中)
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上半身(腕・肩・肩甲骨まわり)
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骨盤底筋(女性特有の問題:尿もれ・臓器の下垂予防)
🔹自宅でできる“Kurage的ベース5種”(例)
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椅子スクワット(太もも・お尻)
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ヒップヒンジ(おじぎ動作で、もも裏&お尻)
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カーフレイズ(かかとの上げ下げ:ふくらはぎ&血流)
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壁プッシュアップ(腕立て伏せのやさしい版)
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タオルロウ(タオルを使った背中の引き動作)
これに加えて、Kurageらしく
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足指のグーパー
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足裏のアーチをつくるエクササイズ
などを組み込むと、
「歩きやすい足×支える筋力」のセットができあがります。
5. 「ムキムキになりたくないんですけど…」問題
論文にも触れられていましたが、
今でも女性が筋トレを避ける理由には、
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時間がない
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ジムが怖い・恥ずかしい
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筋肉ムキムキになりそうでイヤ
こうした心理的ハードルが大きく影響しています。
ただ、データ的には、
女性のホルモン環境で、週2〜3回の筋トレをしても
「ボディビルダー級にムキムキ」になることは、ほぼない
というのが現実です。
むしろ多くの女性は、
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姿勢がよくなった
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腰痛や膝の痛みが軽くなった
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疲れにくくなった
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自分の体を前より好きになれた
といった**“機能と自己肯定感の変化”**を先に感じることが多いです。
6. Kurageとして伝えたいこと
この論文を読んで、改めて強く感じたのは、
「女性の筋トレは、痩せるための“オプション”ではなく、
これからの人生を楽しむための“インフラ”だ」
ということです。
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体重が何キロか
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見た目がどうか
も大事ですが、それ以上に
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10年後も、自分の足でどこへでも行けるか
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孫と一緒に遊べるか
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好きなところに旅行に行けるか
そういう**「歩ける寿命」を支えてくれるのが、女性の筋トレ**です。
Kurageでは、
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足の構造や歩き方のチェック
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姿勢・股関節・膝まわりの動き
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その人の生活に合わせた“現実的な”筋トレメニュー
を組み合わせて、
「頑張る筋トレ」ではなく、
**「暮らしに溶け込む守りの筋トレ」**を一緒につくっていきたいと思っています。
おわりに
もしあなたが今、
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「もう40代だし、今さら筋トレなんて…」
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「運動神経ないから、私には無理」
と思っていたら、
今回紹介した論文は、はっきりとこう言っています。
「女性はいくつからでも筋トレに適応できる。
しかも健康と寿命のメリットは、むしろ女性の方が大きいかもしれない」
最初の一歩は、
・椅子からの立ち座り10回
・かかとの上げ下げ10回
だけでも十分です。
そこから少しずつ、
“10年後も歩ける自分”のための筋トレを一緒に育てていきましょう。



